開発者が語る、経営者6タイプの概念
問い:何故、経営本があなたの会社経営の役に立ちにくいのか
答え:経営者の思考タイプ(≒現在の事業の強み、センターピン)には6タイプあって、それぞれ別の分野だから。
タイプが違う経営者の本を読んでもあなたの事業の役には立たない。
それどころか、今「商品開発タイプ(課金ポイント1個タイプ)」のIT企業を経営しているのに、「組織マネジメント」の本(クレドがどう、経営者の人格がどう)を読んで「経営者の資質」を見直すことは、短期的には会社経営のマイナス、ひいては務めている社員にとって(短期的には/会社経営が良くなれば給与も良くなる有休も取りやすいのにそれを逃すという意味で)マイナスですらあります。
さて、経営者6タイプ(筆者が2013年頃開発したフレームワーク)は以下。
サービス⇔インフラ、組織小⇔組織大、ボトムアップ⇔トップダウンの3軸で6タイプに分類すると図の通りになる。

経営者6タイプは、反時計回りに、①オペレーションマネジメントタイプ→②組織マネジメントタイプ→③ビジネスモデルタイプ→④商品開発・課金ポイント少数タイプ→⑤保護産業・寡占タイプ(政治タイプ)→⑥財テクタイプとなる。
その経営者の6タイプとは、
①オペレーションマネジメントタイプ。付加価値の源泉は効率化。経営者は効率化と効率文化の布教をしている。代表本:ザ・ゴール、ジャパン・アズ・ナンバーワンなど多数。代表企業:TOYOTA、Amazonなど。有名なのはTOYOTAのカンバン方式とカイゼン。効率と最適化で勝つ。製造や物流を極限まで磨き上げる。TOYOTAのカンバン方式、Amazonの物流網は、オペレーションの芸術だ。
②組織マネジメントタイプ。付加価値の源泉は組織文化。経営者は文化(社会貢献、顧客志向など)の布教と、値決めをしている。代表本:道を拓く(松下幸之助)、日本の経営を創る(三枝 匡 他)、ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか―、経営というより自己啓発本として人を動かす(デールカーネギー)など。代表企業:京セラ、Panasonic、ジョンソン&ジョンソン、リッツカールトンなど。「クレド」や「文化・組織」が大切。稲盛和夫のアメーバ経営、松下幸之助の水道哲学。組織の力を最大化する。理念経営している企業全般を指す。というか松下幸之助の本もそうだが、高度経済成長期の本はかなりの割合が、この「組織マネジメントタイプ」と「オペレーションマネジメントタイプ」の人が書いていたりする。耳当たりが良いが、悪く言うと、ふわっとしていて当たり障りがない。Zappos、松下、京セラ、TEAR(葬儀社)、多くの日系企業(美容院とか)もこれだったりする。最大の問題点は、付加価値の源泉が従業員だから、
③ビジネスモデルタイプ。付加価値の源泉はビジネスモデルそのもの。経営者はスピードの重要性や仕事人としてのプロフェッショナリズムを説いている。代表本:60分間・企業ダントツ化プロジェクト(神田昌典)。代表企業:DeNA、APAホテル、キーエンスなど。仕組みで勝つ。やり方は「勝つ仕組みを考えたら、みんなで横展開してそれを何度もやる」。DeNAはソーシャルゲーム×ガチャという「仕組み」を思い付いて、チームいっぱい作ってそこで死ぬほど横展開(何度もやる)をした。APAホテルは、土地を安い時に買って活用する。ホテルの価格変動制というビジネスモデル=仕組みで価値を上げる。また、キーエンスはコンサルティング営業という仕組みを横展開する。また典型的にはDRM(通販など)が該当するが、人や物を活かす「仕組み」で勝負する。関西の大手カラオケチェーン「ジャンカラ」や、ジャンカラがプロデュースする旅行「湯快リゾート」などもこれに該当する。
④商品開発・課金ポイント少数(1個)タイプ。付加価値の源泉は課金ポイントにある。経営者はプロダクトを創るだけか、またはそれに加えて大衆向けにイメージを作り上げようとブランディングを頑張る。代表本:Google誕生-ガレージで生まれたサーチ・モンスター(デビット・ヴァイス)。代表企業:Apple、Google、Facebookなど。スティーブ・ジョブズはプロダクトを創る+マーケティング頑張る。課金ポイントが少ない。iPhone本体、Google検索によるトラフィックに広告をかける、Facebookに広告をかけるという「課金ポイント」そのものを1つ創業者が作って、あとはそれを補完する形で改善する。イノベーション(課金ポイント)そのものはオーナー手動でほぼ1人のアイデアで実現して、周りはその周辺にプロダクト作ったり環境作ったりしているだけというのが特徴。1商品か2商品の商品に抑えて、その商品力の1点突破を行う事が特徴。
⑥財テクタイプ。付加価値の源泉はアセットアロケーション(資産の再配置。借入も含む)。経営者は「資産を再配置」している。代表本:スノーボール-ウォーレン・バフェット伝-(アリス・シュローダー)。代表企業:ゴールドマンサックス等。M&A、金融、証券。お金の動かし方で勝とうとする。企業を買収したり、投資で増やしたりする。また企業内資産を再配置したりする。ウォーレン・バフェットはこのタイプの代表格だが、ティム・クックに注目すると分かりやすい。Appleのスティーブ・ジョブズが亡くなったが、その前は「4.3インチiPhone」以外の画面サイズを拒んだ。持ちにくい、指が届かないというのが理由だ。また、iPadにスタイラス(ペン)を付けるのを嫌がった。無くすだろ!指でやれ。というのがジョブズの考えだった。ティム・クックは社長を引き継いですぐ、5インチ以上の大型iPhoneやスタイラスを発売し、商品ラインナップを多様化(少数じゃなく)した。商品ラインは増え、ジョブズが見ていたらブチ切れていたかもしれないが、株価は上がった。これが既存アセット(資産)をアロケーション(再配置や活用)することで株価を引き上げるという財テクタイプのやり方だ。他には、銀行から借り入れてそれを資本効率の良いところに投資するという孫正義のビジョンファンドの考え方もここになる。
⑤保護産業・寡占(政治)タイプ。付加価値の源泉は独占や寡占やライセンスが中心。経営者は基本的には初期はライセンスや独占、契約、政治的な動きに余念がないが、一度契約が完成すると「動かないことそのもの」が戦略になり得る。代表本:不明(各自検索・模索)。代表企業:日本の大手携帯電話キャリア(ドコモ、AU、ソフトバンクジャパン等)。経営者は社員の新しいリスクある動きを潰したり、契約書チェックに余念がない。規制と許認可で勝ちにいく。太陽光、大手ゼネコンなども相当。何もしない(あるいはゆっくり動く)ことが戦略にもなりうる、特殊な領域。これらは起業家とは違うが、一つの経営者のタイプと言える。ライセンスや独占・寡占が生み出す富をなるべく長い間最大に享受するのが戦略だから、大きな動きが無いことが多い。携帯電話会社(電波割当に守られたある意味規制産業・ライセンス産業)が、ドコモ・AU・ソフトバンクに限られていた時代、変化を起こさなかった。楽天の三木谷社長は、そこに目を付けて楽天モバイルで価格破壊しようとした(しかしMVNOや格安業者が出てきて苦戦を強いられた)。
以上6タイプだ。
あなたやあなたの経営する会社とタイプが違う会社の本を読んでも、さして役に立たないばかりか、せっかく人に依存する組織を脱して(松下幸之助の”白物家電”の遺産を整理して、事業部別の統廃合を経て)ビジネスモデルタイプに移行しようとしているのに、再び”文化と規律”を経営の中心課題に据えるみたいなものだ。ビジネスモデルタイプで必要なのは「成功の型を見つけて、素早くみんなでコピペすること」だ。例えば松下幸之助の残したパナソニックにおいては、これは、航空機向けのディスプレイパネル、中国向けのエレベーター事業などが該当した。それの勝ち筋を見つけてみんなで繰り返すという方向に行くべき時(パナソニックの苦境脱出は結局、企業全体として効率化ではなく事業部別にビジネスモデルを見つけ直して黒字化した事業に経営資本を集中することにあった)に、故・松下幸之助氏の経営手腕の過度な懐かしみや、それと現経営者の比較をしていても仕方がない。
同じように、あなたも、ベンチャーを興し、組織マネジメントタイプとして人を雇ったりしてきたが、幹部が抜けたりして悩み、そしてビジネスモデルの種を自分で見つけて、みんなで横展開するというスタイルービジネスモデルタイプーや、その先の「商品開発を自分でやって、それに対してのオペレーションや例外対応を人を雇ってやらせようとしている」という仕組みの外注も大事になる商品開発タイプに移行しつつあるのに、再び「人が大切」「人こそが資産」なんて本を読むか、先輩経営からマウント気味にその話を聞いてしまうと、混乱してしまう。話を”今聞いて、今実行するべきか?”という狭間で、悩むことになる(人=資産論を(派遣会社ではない)商品開発タイプのIT会社の代表が聞いた場合等は、経営者の脳内には、コレジャナイ感が漂ったりする)。それもそのはず、商品開発タイプで行っている今のあなたに必要なのは商品の課金ポイントを仕上げることだからだ。あなたの直感は正しい。
あるいは、ビジネスモデルタイプで行っているあなたは、”どの型で社員に飯を食わせるか”のひな型を作ってみんなでやらないといけない。問題は多いけど、人だけじゃない、という感覚が確かにある。
経営者6タイプで今やっていることとタイプ別に同じことのエッセンスを聞いたら、これは納得性もあるし役立つこともあるだろう。例えば財テクタイプの社長どうしが、資本効率を良くする話をする、オペレーションマネジメントタイプの社長が、歩留まりを良くする方法を話す、ビジネスモデルタイプの社長がマーケティング的に特定の事業モデルの儲けの仕組みについて意見交換・情報交換をするなどだ。
と、ここまで学んだ時点で、次の学びに行こう。
経営者6タイプのモデルにおける基本ルールと経営者の”成長”
経営者6タイプは、反時計回りに、①オペレーションマネジメントタイプ→②組織マネジメントタイプ→③ビジネスモデルタイプ→④商品開発・課金ポイント少数タイプ→⑤保護産業・寡占タイプ(政治タイプ)→⑥財テクタイプとなる。
【ルール1】ある経営者の資質はどれが6つの中に当てはまる。経営者が成長するにつれ、隣り合うタイプにしか移動しない。マスを飛ばして動くことはない。
※注:あくまでも経営者”個人”に紐づく性質だ。有価証券報告書からは分からない。なぜか?Appleのスティーブ・ジョブズ(商品開発・課金ポイント少数タイプ)が亡くなってすぐ、ティム・クック(財テクタイプ)に経営者がシフトしても、有価証券そのものは連続的なものだからだ。だからあくまでも経営者の気質であり、有価証券報告書は長期傾向としては現れるが、ある有価証券報告書を元に、この会社は何タイプだと言うことはできない(ただし、長期傾向として、インフラや資産が重い:オペレーションマネジメントかもしれない、とはなるが、ともかく上記の具体的会社は”創業者”が一貫する傾向があるから挙げたが、実際の性質は創業者などの”経営者”に付いている。だから経営者6タイプなのだ)。
【ルール2】反時計回りは1歩ずつ最大5歩まで、時計回りは1歩しか動いた事例が観測されていない。
※つまり、反時計回り:ほぼ1周、時計回り:1歩だけとなっている。反時計回りに動くのが正解で、時計回りは何故か1歩しか動かない。何故なのかは仮説は立つが理由は明らかになっていない。例えば③ビジネスモデルタイプで一旗上げた後、②組織マネジメント系の発信が増える経営者がいる。
これらから、経営者に関して興味深い性質が浮かび上がってくる。
モデルの具体的な事例:孫正義で検証する
孫正義は、本人も気づかないが、この6タイプを約10年のサイクルで歩いてきた。
1980年代:③ビジネスモデルタイプ(ソフト卸売)。パソコンソフトの流通という「仕組み」で勝負した。当時、ソフトウェアは店頭で買うものだった。孫正義は流通を押さえることで、ソフトウェア業界の黒子として利益を上げた。
1990年代:④商品開発・課金ポイント少数(1個)タイプ(Yahoo! Japan立ち上げ)。日本にインターネットポータルという「新しい商品」を持ち込んだ。まだインターネットが一般的でなかった時代に、「これからはネットだ」と言って走り出した。象徴的なのは「Yahoo!BB」というADSL端末を、街頭にパラシュート部隊と言って、ばらまいた。つまり「ネット回線というサブスクほぼ課金1個」で突っ走って会社価値を上げようとした。
2000年代:⑤保護産業・寡占タイプ(携帯電話会社)。ボーダフォン買収で携帯電話事業に参入した。携帯電話会社は総務省による電波割り当てが必要。ここで一気に政治に近づいた。
2010年代:財テクタイプ(ビジョンファンド)。財テクはアセットアロケーション(資本の移動)で付加価値を出す戦略。10兆円規模のビジョンファンドで「投資」に軸足を移した。WeWork、Uber、ARM等。
そして2020年代。次は何か。モデルに従えば、オペレーションマネジメントタイプ(製造業)に行くはずだ。
2020年代:オペレーションマネジメントタイプ(半導体製造)。トヨタのカイゼンもそうだが、KPIを追いかける。2025年末の段階ではまだ、投資の延長のような形でやっているが、そのうちソフトバンク初期に電波塔立てるのをやったみたいに、歩留まりのようなマイクロマネジメント(これは人を細かく管理するという意味じゃなくて、1つの部分的KPIを改善することが全体に波及するという意味)をやると思っている。
実際、孫正義は半導体製造やデータセンター投資と最適化という、まさにオペレーションマネジメントを打ち出している。
孫正義本人は「AIの未来を信じており、インフラを作るため」と言うだろう。それは正しい。
でも、経営者6タイプから見ると、彼は10年ごとに反時計回りに経営者タイプを変えるという「法則」に従っている。本人も気づいていない法則だ。
だから、僕は2013年~2014年の時点で「孫正義は投資家になる」「その後は製造業をやる」と予測できた(Xで発表したので証拠も残っている)。
このように、モデルがあれば、不確実な未来(例えば、ある経営者がその後どんなタイプの経営をするか?といったこと)の予測が可能となる。
経営者6タイプを分類する3つの軸もあり、図の通り図解されるから見ておくと良い。(ついでに一度自分で書いておくと使いこなせるので便利)
モデルの紹介でも幾つか書いたが、得られる示唆がいくつかある。
再掲になる部分もあるが改めて書くと、
●1:組織マネジメントタイプは成長産業に適するが、不況産業には適さない。戦後日本は、組織マネジメントに寄り過ぎた。そもそも組織マネジメントとは、「事なかれ主義」に陥りやすい。
成果や目標が既知であり、戦略不在でも成長する場合に、従業員をクリエイティブというよりは、与えられた目標を達成することだけを考えさせうまく動かすことで成長するタイプである。
失われた20年というが、成長産業以外の不況産業でこのタイプが成長するのは少し難しい。
反面、成長産業ではこの組織マネジメントタイプは抜群の強さを発揮する。
たとえば、葬儀屋で名古屋で初上場し、最近東証1部に昇格した葬儀社のTEAR。
これは、富安社長という人が、中途社員一人のためにも面談を開き、「お前さん、ちゃんと親に感謝しているか?
親に感謝する人が葬儀屋をやる資格があるんだぞ」と、理念・考え方を徹底的に叩き込む。
これは葬儀産業のような成長産業には抜群のマネジメントで、社員が一つの方向に向かうことで瞬く間に成長し、創業9年で上場、さらに数年で1部上場を果たした。
従って、組織マネジメントタイプで邁進して不況に陥った日本企業は、次のビジネスモデルタイプに移行する必要がある。
●2:ビジネスモデルタイプは、成熟産業の起死回生の一手になりやすい。
(これは2010年代に有効だった概念だが、組織マネジメントタイプで人材派遣や受託開発・個人事業的に行っている事業において、)ビジネスモデルタイプの典型的な事業がDRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)だ。15年ほど前に神田昌典によりアメリカから輸入されたこのモデルは、従来のマス広告という概念を覆し、ダイレクトレスポンスを取る(イメージ広告ではなく、お客さんのリストをダイレクトに取得する)ということに特徴があった。
これにより、経営が数値化可能で、小予算で小回りの利く経営が可能となり、中小企業が1商店を脱し、商圏を拡げて飛躍する手法として大ブレークした。
また、一人のコピーライターが反応率を取れるビラを一つ作ると、何度でも繰り返し広告を打てるため、営業マンの質・教育や人材の質がそこそこであっても、企業として10億円程度までは飛躍できるという、過去無かった手法として定着した。
10億円の壁を超えるには、人事評価システムや情報共有システム・IT化に投資を行わなければならず、またお金だけでなく理念や人材管理の仕組化が必要になるのだが、マーケティングを仕組化・定式化するというところでこのDRMは貢献した。
他に、マイクロソフトやカラオケチェーン、その他飲食等、新しビジネスモデルと仕組化で市場を塗り替えた企業は多い。
「仕組化」がキーワードとなるこのビジネスモデルタイプは、ITやその他経営管理ツールの発展と相まって更に重要性を増した。
このタイプの特徴は、図にある通り、資本集約型ではなく知識集約型に近く、小規模の予算から成熟した市場のニッチを狙う事や、新しい仕組みで新しい需要を掘り起こすことが出来るため、成熟産業をブレークスルーする手段にもなりうるところだ。
●3:商品開発タイプは経営者が全資源を集中してただ一つの商品を作る。
このタイプは非常に面白い。この商品開発というのは、経営者の実力が如実に経営に活きてくる。
スティーブ・ジョブズは社内の組織管理など顧みずに(アップルストアは例外として)、その独裁政治によってiPod、次いでiPhoneを開発した。
ここで大事なのが、京セラ(組織マネジメント)やSONY(ビジネスモデルタイプ)等とは違い、各プロジェクトの「マネジメント」によってシナジーにより市場ニーズを満たすという事を行わないことだ。
経営者の独断と偏見により、商品を作る。
このタイプには、Googleのようにまずは創業者が商品を作るタイプも、Appleのように大きな状態から商品を作るタイプもある。
このタイプの経営者が作る企業の特徴は、「その1つか2つの商品が課金ポイントとなり、それに付随する経済圏の生成や最適化を組織が行う」ということだ。
たとえば、Googleはセマンティック検索により、「トラフィックさえ集めたら売り上げが上がる」という商品を作り上げた。
従業員は、課金ポイントのイノベーションは難しいが、課金ポイントが出来たところに面白い商品などは作れるのだ。たとえば、GoogleMapはツールとしては便利だが、課金ポイントを作るのは難しい。
課金ポイントは、GoogleMapによりもたらされたアクセスが、セマンティック検索に誘導されることによる(あるいは、単にGoogleブランドの強化だって長い目にみたらお金となる)。
iPhoneも独自の経済圏を築いたので、そのプラットフォームで開発者たちが盛り上がれば盛り上がるほどAppleは潤う。
この示唆は非常に強力で、ビジネスモデルタイプがいくら頑張ろうと、組織マネジメントタイプがいくら人を活用しようと、強力な製品一つに太刀打ちはできない。
そもそも、課金ポイントの設計は従業員には難しい。
目的関数を組織として与える事が難しいからだ。
では、従業員は「何」を出来て「何」をできないのか?
実は、「課金ポイントのイノベーション」というものは、組織内部から出てくることは難しいのだ。
何故なら、課金ポイントを自分で作れるならそれを収入源として従業員は独立するだろうし、企業体として課金を行っていくにあたり、やはり組織の力とか、新しいブレークスルーが無いとそれは改善しにくいのである。
そこで、商品開発タイプは「課金ポイントのイノベーション」を経営者が行い、それに付随する経済圏を優秀な従業員が「最適化」すれば良いことになる。
尚、組織マネジメントは、課金ポイントは割合明白だ。付加価値の源泉が従業員だから、従業員の接客とか、サービスとかに対して課金される。
iPhoneへの課金は、ネットワークとかiTunesとか、アプリとか、いろいろなものを統合せねばならない。セマンティック検索への課金も、検索システム自体が秀逸でなければならない。
以上、図から思いつくいくつかの示唆を考えてみた。
実はまだまだあるのだが、オペレーションマネジメント、財テク、インフラ等についても考えてみると面白い。
そして我々財力が無い人は、資本集約型ではなく人材マネジメントとか、特にビジネスモデルや商品開発に行くしかない。
従って、目に見える課金ポイントを最適化して商売してやろうと思うのではなく、まだ見ぬ課金ポイントを求めて必要な商品や、ビジネスモデルを組み込んで行く起業家の方が大きな企業を作るだろう。
スティーブ・ジョブズに関する逸話(経営者6タイプとは無関係)
スティーブ・ジョブズは若かりし頃Appleを創設し、成功ののち、しばらくして役員たちとの衝突によりAppleを追い出された。
ドラッカーは追い出される前の彼を見て「成功する企業家には、5年くらいの大企業でのマネジメントの経験が必要。
若くして成功すると傲慢になる。
彼は必ず失脚する」と考えていた(事実そうなった)。
そして経験を積み、組織に戻ったスティーブ・ジョブズは、iPodにより見事Appleを再建した。
経営者6タイプは、経営者の時間や関心の使い方を示唆する。
組織マネジメントタイプは下を見て経営理念を説き、ビジネスモデルタイプはビジネスの仕組みづくりに時間を使い、商品開発タイプは商品の設計図と青写真作りに時間を使う。
組織マネジメントでうまくいかなくなってきたら、仕組を作れ。
仕組だけで太刀打ちできなくなってきたら、経営のかじ取りを行うか、全社を賭けて商品を作れ(SONYがウォークマンを作ったように)。
確かに、商品開発タイプは組織マネジメントが本分ではない。
青写真作りとその遂行が仕事だ。
ただ、それだから傲慢で良いということでもない。
経営とは顧客貢献だ。
顧客のために組織マネジメントをすることもあれば、仕組みを作ることもあれば、商品を作ることもあるだろう。
そのために、仲間も必要、組織も必要、仕組みも必要だ。
従って、自分の思考、役割を考え、「今ある売り上げを追い求める」のではなく、その先にある自分の役割、時間の使い方、組織に必要な方向性を考えよう。
社内政治に明け暮れざるを得なくて、組織を方向づける事が難しい経営者を見ると、たまにこんな感じで視点を変えてみるのも良いのではないだろうか、と思う。
そんな「経営者6タイプ」の図はいったんここまで。
おまけ1:写像(1対1の対応)による演繹法(論理の繋がりを用いた法則探し。色んな事象の共通点を見つけるのは帰納法)を用いた未来予測
これは、(私の考えた概念である)「写像による演繹法」を用いたモデルの読み取りである。
下のモデルが、今回の「経営者6タイプ」もそうだし、何らかの直線的に予測できるモデル。
上の欄が、現実世界(ぐちゃぐちゃで法則性の無い、脈絡の無い世界)。
写像は数学用語だが、今回の話は厳密な数学じゃないので、「下のモデルの世界が、上の現実世界と、1対1で対応する(写像で対応する)」みたいな理解で良い。
あと、演繹法(えんえきほう)とは「論理の繋がりで次を予測」みたいな感じ。
上の図の「モデル」で、「1→2→3と変化する」みたいなのが「演繹的に予測する」ということだ。数字が増えるだけなら単純だが、経営者6タイプの場合は「3次元に展開された6角形を、反時計回りまたは時計回りに進む」みたいなのが演繹部分。
演繹法の逆は「帰納法」で、これは「たくさんの物事の中から共通法則を見つける」だ。入れ墨が入っていたらワルかも、金髪はギャルかも?という程度のパターン法則。ところが未来はまだ起こっていないので、未来予測においては、帰納法が使えない。だから未来の予測は、演繹法というかモデルを使うことになる。
経営者6タイプの場合は(未来予測ではないのでサンプル経営者がいっぱいいるので)、具体的事例を当てはめて観察する(これは演繹法の逆で、帰納法)と、「反時計回りには最大5歩、時計回りには1歩しか動いた事例しか観察されない(人工知能にも確認した。AIにこのブログ記事を読ませるか、コピペで教えて、現実の経営者の事例を訪ねると良い。時計回りに2歩は有名な経営者では、事例がほぼ無いが、時計回りには最大5歩、通常でも1歩はもちろん、2歩、3歩動いた同一経営者の経営者人生における歴史が事例として幾つもあがる)」。
まぁ要するに「写像による演繹法」とは「モデルを作って未来を予測する」ということだ。
ちなみに、モデル自体は帰納的にも作ることがある。例えば、経営者6タイプを僕が思いついたきっかけは、先輩経営者に「経営者は4つか5つに分類される」と聞いたことによる。「4つか5つ?中途半端だな。4つなのか5つなのかどっちだ?」と思ったのがこれを思いついたきっかけ。実際にはその先輩経営者は、「オペレーションマネジメントと組織マネジメントタイプを混同」していたことで、これが4つとか5つに揺れていた。更に、その経営者の人間関係から、「保護産業・寡占タイプ」が抜けていた。これは、僕もモデルを作らないと分からなかった(3軸で6角形を創ると、1か所だけ名前が決まっていない経営者のタイプがあり、考えて存在が分かった)。多分、ライセンスが大切な病院経営とか、総務省による電波割り当てが大切な携帯大手とか、普段関わらない/見えない世界の出来事なのであまり知り合いがいなかったり、単に組織マネジメントタイプのスピードが遅い版(慎重な経営者)として分類されるので、気づかないのだ。
つまり、「モデルの世界では直線的に法則があるかもしれないので、それを見つけたら未来予測に応用できる」ということだ。
というか、未来予測をするにはほとんどこれしか手段がない。
おまけ2:写像(1対1対応)による演繹法(論理の繋がりの未来予測)、別のモデルを挙げよう
四資源集積・高度化モデル
人類には4つの革命があった。
①農業革命(組織)
②工業革命(工場)
③金融革命(デリバティブ)
④情報革命(AI)
※()内は人・モノ・金・情報処理資源が集積して相転移してできたもの。
こうなる。
①農業革命:1万年前【人の集積と相転移】、稲作(農業革命)によって、人類は狩猟民族から定住し、人が人を管理するようになった。
②産業革命:250年前【物の生産の集積と相転移】、工場(産業革命)によって、人類は手工業から工場で大量生産し、勤めるようになり、物に対して人が従属するようになった。つまり物が人の動きを決める。
③金融革命(?):1990年【金による所有権の集積と相転移】、金融派生商品(デリバティブ)によって、余った資本が証券化された金融派生商品に集約されることにより、工場を含む資本が金融市場において証券化され、所有が偏在しました。2008年のリーマンショックでその制度の脆さが露呈するまで、金融資本主義は行くところまで行ったという感覚だ。
※(?)と付けたのはさしたる付加価値を生んでいないから
大切なのは、それぞれが「人・物・金・情報の密度が一定に達した」際に、相転移が起こっているという法則だ。
そしてこれから起こる事は・・・
④2031年【情報処理速度の集積と相転移】、これが”シンギュラリティ”であり、「金が情報処理に隷属する社会」だ。
つまり、計算能力の所有によって金が生み出される完全な人工知能主導型社会だ。
人<物(人が物の生産に対して隷属することになった産業革命、現代もサラリーマンという言葉はこの事象を象徴する)
物<金(物の生産(工場や会社)の所有権が金(証券化商品)に対して隷属することになった金融資本市場の台頭。ウォール街の富豪という言葉がこの時代の到来を良く表していた。)
そして・・・
金<情報処理(AIの所有、もっと言うと計算能力の所有によって、金が生み出される状態。逆を返せば、金は減価=インフレを続け、AIがそれを手動し、計算能力の所有こそが金を生み出す手段になる新しいパラダイム)
これを着想して広げて1冊の本を超えるレベルになったので今度出版することになった。詳しくは決まり次第発表する。





