起業して5年、ぼそぼそと年商数億円くらいを続けてますが、そろそろ10億目指して仕込み期が終わりそうなので追い込み時期です。
さて、今回は1000名以上と面接し、数十名の利害関係者の方々及び、数十名の社員と色んな形での人間関係を結んできました(社員数十名の代表・社長として)。
その中で、一緒に事業をやる上で、分かりそうなものだけどなかなか明確に認識するのが難しかった、”人との組み方”をここに備忘的に書いておきます。
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その結論としてまず、事業を一緒にやるべき人は、次のいずれかを満たす人であり、それ以外は全て対象からは外すことが肝要です。
【事業を一緒にやるべき人】
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●その事業に賭ける優先順位が「1」の人
または
●プロの人
※それ以外の場合→いかに可能性があっても、組むべきではない
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以上が法則となります。
背景を支える採用理論も、プロジェクトの事例も、多数あることと思いますが、
今のところ上記2つを外れるものに関してはうまく行かず、
「人と何かをする」上で「その事業に賭ける優先順位を『1』に振り向ける」ことが
いかにリーダーとして大切で難しいか、古今東西組織におけるトラブルや組織の軋轢というものは、この一言で比較的うまく説明できるのではないか、
上記は、今のところそのように思っている命題です。
僕はこのことを、およそ1億円以上を人財に投資して(もし正しい判断があればこの1億円から税金を引いた約5000万前後が会社の口座にリアルに残っていたであろうけど)自分の言葉で説明できる程度に身を持って学んできたことでもあるので、この場でみなさんとシェアしておきます。
(※1億円という金額に関して。DeNAの南場智子さんも言ってますが、起業は失敗の連続であり、成功した時のリターン100倍だけど失敗も90回くらいするのです。逆に言うと失敗をいかに多くできるかが経営者としての素質かもしれません(諦めないことは前提として)。)
さて、まずはこのことを知らないとどうなるのか?
とあるクライアントからのご相談という形で事例を紹介します。
【事例1:加藤のクライアント】
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私は音楽系スクールの起業をして11年経ちますが、それを期に講師だけでなく音楽のプレイヤー業も再開することにし、決意を新たにしていたところで2013年加藤さんの動画を何かのきっかけで購入して、「プレイヤー・奏者としての起業」はこの通りやってみようと思いました。
しかし、
①奏者としてのスタートを相談していた人が複雑骨折で入院
②奏者として手伝いをお願いしようと思った20代のピアニストが突然亡くなり
③演奏する曲の作曲を頼んでいた人が音楽出版会社を辞めてしまい、音信不通
④小さい子を奏者として長期投資で育て、将来奏者にできればと思っていたところ、その子がお母さんが亡くなり辞めてしまいました
できなかった言い訳みたいに前置きが長くなりましたが、人間関係の力学を再度習得して奏者としての起業をうまく行かせるように持っていきたいと思います。
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今でこそ分かる、典型的なパートナーシップにおける挫折だな、という感じですが(この例におけるパートナーはいずれも上記条件を満たさない。
条件を満たさない場合は1人でもやるか、別の人を探し続けるというソリューションが適用される)、恥ずかしながら加藤自身の経験もいくつか下記でご紹介しておきます。
【事例2:加藤自身】
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プログラマーをポテンシャル育成してしまったが、彼らの優先順位が「1」ではないためにこのプロジェクトは成功しなかった。
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僕の会社には、京大・阪大・アメリカのH大学数学専攻(国際数学オリンピック予選ファイナリスト経験もあり)からもプログラマー志望のインターンが多数来ていた。
彼らは個々に(年齢の割に)大変優秀であり、元々教育が好きでチャンスを与える事が好きだった僕は、彼らを一流のプログラマーにするべく、まずはインターン生として雇い、長期投資を行っていた。
僕の目には、彼らが本気を出して学び続ければ、将来プログラマーとして大きく飛躍するであろう姿が絵として見えるようだったので、その絵を夢として、期待を込めて彼らを育成した。
主に、大きなチャンスを与える、という方法によって。
かかる金額はだいたい一人月間6~12万円程度であり、初期の自己研修期間が3ヶ月、そこから業務に入るまで3ヶ月、延べ6ヶ月、40~60万程度がインターンとして概ね良く活躍するまでの期間だった(小慣れてくるのが1年経った頃)。
そして、そんなインターンを常時10~20名ほど抱え、
とあるソフトウェアを開発するべく、その中の1人をエース級として新卒採用し、インターンのヘッドに据え、その1人に関しては年収も東京の新卒相場の1.5倍を関西で払い、同時にインターンを多数育成した。
総計投資は3000万程度だろうか(月間もろもろ200万×15ヶ月)。
結果として、この投資はうまくいかなかった。
彼らには、ポテンシャルがあった。
しかし、プロジェクトに賭ける優先度が「1」ではなかった。
また、過去に経験があり、それを繰り返すことのできるプロでもなかった。
彼らのうち、一部がプロジェクトの優先順位が「1」以外となった。
というよりも、別の優先順位のものがそれぞれあり、リーダーを中心にそれぞれの優先順位を求めてプロジェクトが一度中止になり、再出発になったという表現が正しい。
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なかなか痛い経験ですが、現在このプロジェクトで得られた知見もあり、前回より良いプロダクトとして開発が進んでいます
(Google Glassのプロジェクト再開みたいな感じです)。
これに関しては結局、元の構想を一緒に練った社内のスーパープログラマーがまたプロジェクトを引き取り、プロジェクトを温めています(総計投資総額で現在4000~5000万ほど)。
その他にもいろいろありますが、結局優先順位「1」の原則というのがあるのを僕はこの経験から学びました。
また、僕は「人に大きなチャンスを与える」という方法によって人財の育成とプロジェクトの成功を同時的に狙いましたが、事業の成功に最重要の責任がある社長としては、人にチャンスを与えるのではなく、自ら成功をもぎ取りに行くくらいの気概を”自分自身で”デザインする必要があったと思います(人に期待するのではなく)。
それから、プロである、ということに関して幾つか。
これに関しても色々ありますが、一つは、実際に経験してみて、ポテンシャル採用というのは滅多に通用しない、という事があげられます。
採用するなら、その職務に必要な職務上専門スキルと、1日の業務の流れをA4 6枚前後に明文化して、求める人物像を明確化するのが良いでしょう。
この手法は、欧米では王道で(職務規定書)、日本には少ないものです。
僕らは人の可能性を信じ、投資しますが、組織のパフォーマンスに全責任を持つのは社長であり、その社長を信じて勤務している社員もいます。
最も可能性が高いのは、過去にその経験を別のプロジェクトでしたことがある人物であり、そういう人を求めるべきです。
僕らはつい、ポテンシャル採用及び、人物像採用をしてしまうのですが、経験もかなり大事です。
この人物像とポテンシャル・経験のバランスですが、どれも大事なのです。
では、どうすればいいのかは次回に・・・。