社会経済学者のマルコム・グラッドウェルによれば、
ビル・ゲイツは2~3年生まれるのが前後していたら、
コンピュータの黎明期に立ち会うのが思春期の真ん中じゃなかったから、
マイクロソフトを設立していなかったとかいう論調がある。
他にも、マイクロソフト設立には、いろんな偶然が重なっていて、
例えば、「ある企業が後のMS-DOSとなるプログラムを間違えて
売っていなければマイクロソフトは出来てない」
とかいろいろ言う。
僕に言わせれば、これらは成功者が「好機を見つけた」のと
「問題解決を図った」だけであり、
マイクロソフトが偶然の産物とかいう証拠にはならない
(多少資産は前後していた可能性はあるけど、
せいぜい10倍とかしか違わない。つまり、
5兆円の資産が1兆円くらいにはなったかもしれないが、
成功者には違い無い)。
さて、前者の「好機の見つけ方」については諸説あるが、
僕なりの方程式というか時代論みたいのがある。
それは、
「計算機バブル」→「通信バブル」→
「ウェアラブルバブル」→「電脳クラウドバブル」というもの。
計算機バブルというのが
マイクロソフトのOS標準取り合い合戦(シェア取り合い合戦)で、
通信バブルというのが各国における通信キャリア
(日本ではソフトバンクとかドコモとか)の
シェア取り合い合戦、ウェアラブルバブルというのが,
スマホとかiWatchとかGoogleメガネとかの
装着型コンピュータ端末の開発競争の事
(入力端末バブルになるはず。出力はもう少し先のバブル)。
そして、電脳クラウドバブルというのは、
ウェアラブルのもう少し先にあって、
ウェアラブルであらゆる情報がデータ化されて
クラウドに乗っかった時に、
その時のクラウド資産が不足することによるバブルだ。
今は、通信装置(スマホ)が開発されたけど、
それを端末上に表現したり、人体に情報を伝えたり、
逆に人体の情報を取ってきたりしている最中。
行き着く先は、脳みそにチップを埋め込むとか、
静脈にナノマシンを注射とかそんなところだろう
(今は、メガネに表示とか、時計に表示とかの段階)。
それが終わったら、電脳化社会みたくなって面白い。
ところで、iWatchの成功要件として以前僕は、
「5感や生体情報等を取得する」
×
「iWatchそのもののが通信機能を持つ」
が無ければ失敗するだろう、と述べた。
今のところ、ヘルスケア(血圧、体温、水分)
などを測定する機能があるようで、
前者は満たしている。
後者は、少し微妙だが、
まぁ当面はiPhoneが通信端末として稼働するということだろう。
ということは、iWatchは、
「Wii」で言う「コントローラー」みたく、
「iPhone」の「コントローラー」みたいなもので、
iPhoneの拡張端末みたいなもの、ということだ。
通信キャリアの支配を続けるソフトバンクやドコモ、
そしてそれのシェアで主流を行くアップル。
しばらく面白い競争の様相が見られるだろう。
ちなみに、僕はアップルとGoogleでは、
やはりGoogleが伸びると思っている。
それは、最終的な電脳世界の覇者としては、
Googleがやはりイメージ通りだからだ。
iPhoneの拡張ガジェット(体温や水分を測る装置)としてのiWatchと、
“視覚”をデータ化する試みのGoogleメガネでは、
大胆なチャレンジ、という意味でGoogleメガネに軍配があがると思う。
しかし、Googleメガネは、Wi-FiやBluetoothは搭載しているものの、
通信機能を持たず、しかもiWatchのように、
iOSやAndroidとの連携は重視していない。
つまり、iPhone+iWatchのようなセット感覚は無いのである。
あくまで、独立した端末(但し通信機器は別で装備してネ)というもの。
これには、
「カメラと通信機能を備えたスマホの外付け
ディスプレイとして使われたほうが普及しやすい」
という意見もあり、
そのあたりのインフラの弱さは、Googleの特徴だが、
それでも僕はGoogleグラスのチャレンジを認めるし、
何よりGoogleが、本当の意味での電脳デバイスを作ろうとして、
その普及に努めている事を評価している。
短いスパンでは、iPhoneで築いた経済圏
(普及台数と通信端末とのリンク、手軽さ)
を利用してiWatchが勝つかもしれないが、
長期的なスパンではGoogleが電脳クラウドを作ってくれると信じている。
そして、30年後の姿としては、やはりウェアラブルバブルの先にある
電脳クラウドバブル競争で、Googleか、あるいはそれに準ずる企業が
主役になる瞬間というのを僕はイメージしている。